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2017.03.13

社員に決算書を公開しよう

社員に決算書を公開しよう 社員に決算書(財務諸表)を公開することについて、経営者としての考え方はいくつかあると思いますが、当社では、包み隠さず公開することを推奨しています。今回は、これに関する考え方をお伝えします。

 
社員に経営数字を公開するメリット



社員に決算書を公開するとどのようなことが起きるのでしょうか。まずはその効用について、列挙してみます。

 
・高い人格で会社を公器とみなすことと同義となるため、社員との信頼関係ができる

・現状を同じレベルで理解できるため、共通の目的、目標に向かって協力できる

・粗利や経費などについて、経営数字へのインパクトを意識した行動が取れる

・社員の給料がどのように捻出されているのか理解でき、やる気が上がる

・会社に利益を残すべき理由が理解でき、社長の苦労を酌んでくれる

・決算書を見たかった人に公開することによって、疑念が晴れる

 
以上のように、社員が経営数値を把握するメリットは計り知れません。

ところで、そもそも、上場会社は決算公告がなされていますので、隠す/隠さないという低位なレベルの話は卒業して、基本的にはレベルの高い、公開するほうに合わせるべきでしょう。

 
決算書を隠す社長の心理とは?



当社の顧客にはいませんが、経営者の中には、決算内容をひた隠しにする方もいます。しかし、これはお勧めできない方法です。なぜなら、その心理、即ち、隠す理由が明らかだからです。社長が経営数字を隠す理由は大きく分けて次の2つくらいしかありません。

ひとつ目の理由は、「社員に知られたくない、後ろ暗いことがある」というものです。私的な経費の使い方や私的な会計処理をしているか、過剰な内部留保をしつつ自分だけ異常に高い報酬を得ているか、過去に独断で勝手に大損失を出した、といったところが関の山です。

ふたつ目の理由は、「社員に知られると、恥ずかしい」というものです。決算書は、社長の成績表と見なすこともできるものですから、普段エラそうにしているのに、実は経営者としての成績はショボかった、などということになれば、威厳が保てないのではないかと恥ずかしくなるのです。

 
公開しなくても良い場合はあるか?



先の決算書を隠す社長の心理のうち、経営数字を見られると恥ずかしいという場合には、同情の余地はあります。しかし、それ以外の理由は、やはり「見せないための言い訳」でしかないと思います。

では、本当にその他に公開しなくても良い場合はないのでしょうか? 実は、当社の経験上、次の2つの場合は公開しなくても良い可能性があります。

ひとつ目のケースは、経営数字を把握するのが社長の仕事で、実務を頑張るのが各社員の職務というように、役割分担がしっかりしていて、信頼関係もできている場合です。つまり、「社長のことは信頼しているから、数字の方は頼むよ! 逆に実務は任せといて!」という関係がちゃんとしている場合です。

ふたつ目のケースは、経営数字のことを言うと、パフォーマンスが下がるような場合です。具体的には、研究開発部門など、長期的な視点に立った仕事をしている社員に、目先の売上やコストのことばかりを言うと、かえって委縮してしまい、思い切りも悪くなり、本来の力が発揮できなくなるかもしれません。

 
公開時の注意点



最後に、決算書を公開する際に注意すべきことを2つ挙げます。

ひとつ目は、社外秘であることを強く伝えることです。近年は、SNSなどのウェブツールの発達で、簡単にいろいろな情報が出回ってしまいます。社員が不用意に口外しないよう、しっかりとしつけをおこなってください。

ふたつ目は、変に事前処理や数字の操作をしないことです。数字の一部を消したり加工したりするのは、社員の不審を招き逆効果になります。決算書は現物をそのまま開示し、説明を加えたい部分があれば、追加で補足説明をしてください。

 
以上のことを念頭に置いて、是非、社員と共に決算書を眺め、生産的な財務分析や動機付けをおこなってください。

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