2015.02.16
経営目標(ビジョン、将来像)を語るときの注意点
今回は、前回のニュースレター流れから、経営目標(ビジョン、将来像)を語るときの注意点について考えてみます。
例題がないとイメージしにくいので、ある社長が、次のような経営目標を語ったとしましょう。なお、この例示は実例をもとにしています。
——–ある社長の演説はじめ——–
「経営ビジョンとして、1年後に売上2倍を目指します。」
「これまでは、X商品を中心に展開してきましたが、これを維持しつつ、新たにY商品を積極展開することで目標を実現します。」
「お客様に寄り添い、お客様のために頑張れば、必ず実現できます。」
「目標達成のために、ひとりひとりが経営者目線で計画を立て、その計画に責任をもって遂行してください。」
——–ある社長の演説おわり——–
さて、読んでみていかがですか。こんなようなことを語ったら、実際は社員にどんなことを思われるのか、社員の心の声(ツッコミ)を考えてみましょう。
社員Aの心の声:「なんで売上2倍にしなきゃならないの?」
この声は当然聞こえてきます。残念ですが、営利が企業目的だと思っている経営者は意外と多いです。事業の継続にお金が必要なだけで、営利が企業目的にはなり得ません。
本来の企業目的や、社会的使命から理想の将来像(欲しいものや実現したい状況)を語るべきです。
社員Bの心の声:「売上2倍にして俺に何の得があるの? 利益を独り占めにしてあんたが嬉しいだけでしょ。ついでに、俺のキャリアや人生にもまったく得なさそう。」
社員が実行するのに、社員のことを語らないのはダメですよね。社員の給料を上げたいとか、更にワクワクする次の仕事やキャリアにつなげたいといか、ちゃんと盛り込まれるべきです。
社員Cの心の声:「Y商品って、ちゃんと売れるの? 売れるかどうかもわからないのに責任持てとか言われても、理不尽極まりないんですけど。」
このツッコミもごもっともです。現場サイドで納得して決まった商品でもなく、仮に、その商品自体に売れる力がないとすれば、とんだ責任転換になってしまいます。現場サイドとちゃんとした議論をするのが先ですよね。
社員Dの心の声:「っていうか、経営者目線ってなんなの? しかも、責任とれっていうなら、それ相応の権限とか予算、付けてくれるわけ?」
この「経営者目線」という言葉、当社では使用することをお勧めしません。意味が伝わりませんし、社員のことをぶら下がりだと言っているようなものだからです。この言葉を使う場合は、意味を定義しなければなりません。経営者目線とは何なのか、ちゃんと社員に伝わって、合意できるようなものでなければなりません。
そして、責任を持って計画を遂行して欲しいなら、遂行できるだけのそれ相応の権限や予算が与えられるべきです。「目線だけ」合わせてくれと都合の良いことを言われても、実効性がないわけです。
社員Eの心の声:「具体的にどうやってやるのよ? 精神論だけで終わるの勘弁して欲しいんですけど。」
このツッコミは、つまるところ、作戦(戦略)を教えてほしいということです。目標に到達し得る期待感のある作戦(戦略)がなければ何も起きません。
社員Fの心の声:「俺らに丸投げ? 丸投げなら丸投げでいいけど、こっちがちゃんと動けるような丸投げの仕方ってもんがあるでしょ?」
この社員さんは何を言わんとしているかというと、作戦がないならないで、せめてどうやって作戦を立てていくのか、仕事の進め方を指示してくれと言っているわけです。
社員EさんとFさんのツッコミは、非常に重要ですから、忘れないでください。
まとめ
さて、社員の心の声に替えて、経営目標(ビジョン、将来像)を語るときの注意点を考えてきましたが、最後に要点をまとめましょう。
[1] どれくらい先まで語るかは、企業ごとに自由(経営者や組織文化によって3~30年の幅あり)
[2] 金のことばかり言うな、本来の企業目的や社会的使命から語れ
[3] 社員の待遇やキャリアについてもワクワクするような明るい未来を語れ(社員は会社のために生きているわけではない)
[4] 責任を持たせたいのなら、それ相応の権限や予算も与えるべし(何も与えず責任だけ取らせるのは理不尽。思い切りやらせ、責任は経営者が取れば尚良し)
[5] 具体的にどう進めるかまで伝えろ(戦略あるいは、仕事の進め方をしっかり話せ)
上記すべて、
[6] 一貫性を持たせ、納得感(共感)が得られるように方向付けろ(会社のご都合主義では見透かされる。ただし、社員にこびへつらう必要はない)
それと、例題には出ませんでしたが、
[7] シンプルに、わかりやすく語れ(項目は3~5個くらいに止めよ。意味もなく専門用語は使うな)
以上を参考に、経営者の都合ばかりを押し付ける演説とならないよう、十分にご注意ください。
例題がないとイメージしにくいので、ある社長が、次のような経営目標を語ったとしましょう。なお、この例示は実例をもとにしています。
——–ある社長の演説はじめ——–
「経営ビジョンとして、1年後に売上2倍を目指します。」
「これまでは、X商品を中心に展開してきましたが、これを維持しつつ、新たにY商品を積極展開することで目標を実現します。」
「お客様に寄り添い、お客様のために頑張れば、必ず実現できます。」
「目標達成のために、ひとりひとりが経営者目線で計画を立て、その計画に責任をもって遂行してください。」
——–ある社長の演説おわり——–
さて、読んでみていかがですか。こんなようなことを語ったら、実際は社員にどんなことを思われるのか、社員の心の声(ツッコミ)を考えてみましょう。
社員Aの心の声:「なんで売上2倍にしなきゃならないの?」
この声は当然聞こえてきます。残念ですが、営利が企業目的だと思っている経営者は意外と多いです。事業の継続にお金が必要なだけで、営利が企業目的にはなり得ません。
本来の企業目的や、社会的使命から理想の将来像(欲しいものや実現したい状況)を語るべきです。
社員Bの心の声:「売上2倍にして俺に何の得があるの? 利益を独り占めにしてあんたが嬉しいだけでしょ。ついでに、俺のキャリアや人生にもまったく得なさそう。」
社員が実行するのに、社員のことを語らないのはダメですよね。社員の給料を上げたいとか、更にワクワクする次の仕事やキャリアにつなげたいといか、ちゃんと盛り込まれるべきです。
社員Cの心の声:「Y商品って、ちゃんと売れるの? 売れるかどうかもわからないのに責任持てとか言われても、理不尽極まりないんですけど。」
このツッコミもごもっともです。現場サイドで納得して決まった商品でもなく、仮に、その商品自体に売れる力がないとすれば、とんだ責任転換になってしまいます。現場サイドとちゃんとした議論をするのが先ですよね。
社員Dの心の声:「っていうか、経営者目線ってなんなの? しかも、責任とれっていうなら、それ相応の権限とか予算、付けてくれるわけ?」
この「経営者目線」という言葉、当社では使用することをお勧めしません。意味が伝わりませんし、社員のことをぶら下がりだと言っているようなものだからです。この言葉を使う場合は、意味を定義しなければなりません。経営者目線とは何なのか、ちゃんと社員に伝わって、合意できるようなものでなければなりません。
そして、責任を持って計画を遂行して欲しいなら、遂行できるだけのそれ相応の権限や予算が与えられるべきです。「目線だけ」合わせてくれと都合の良いことを言われても、実効性がないわけです。
社員Eの心の声:「具体的にどうやってやるのよ? 精神論だけで終わるの勘弁して欲しいんですけど。」
このツッコミは、つまるところ、作戦(戦略)を教えてほしいということです。目標に到達し得る期待感のある作戦(戦略)がなければ何も起きません。
社員Fの心の声:「俺らに丸投げ? 丸投げなら丸投げでいいけど、こっちがちゃんと動けるような丸投げの仕方ってもんがあるでしょ?」
この社員さんは何を言わんとしているかというと、作戦がないならないで、せめてどうやって作戦を立てていくのか、仕事の進め方を指示してくれと言っているわけです。
社員EさんとFさんのツッコミは、非常に重要ですから、忘れないでください。
まとめ
さて、社員の心の声に替えて、経営目標(ビジョン、将来像)を語るときの注意点を考えてきましたが、最後に要点をまとめましょう。
[1] どれくらい先まで語るかは、企業ごとに自由(経営者や組織文化によって3~30年の幅あり)
[2] 金のことばかり言うな、本来の企業目的や社会的使命から語れ
[3] 社員の待遇やキャリアについてもワクワクするような明るい未来を語れ(社員は会社のために生きているわけではない)
[4] 責任を持たせたいのなら、それ相応の権限や予算も与えるべし(何も与えず責任だけ取らせるのは理不尽。思い切りやらせ、責任は経営者が取れば尚良し)
[5] 具体的にどう進めるかまで伝えろ(戦略あるいは、仕事の進め方をしっかり話せ)
上記すべて、
[6] 一貫性を持たせ、納得感(共感)が得られるように方向付けろ(会社のご都合主義では見透かされる。ただし、社員にこびへつらう必要はない)
それと、例題には出ませんでしたが、
[7] シンプルに、わかりやすく語れ(項目は3~5個くらいに止めよ。意味もなく専門用語は使うな)
以上を参考に、経営者の都合ばかりを押し付ける演説とならないよう、十分にご注意ください。
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